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2010年4月

(2009年11月23日伯母佳子逝去)

誰も行く 道とは知れど 日を継いで 寂しさまさる ものとは知らず

悲しみの 限りなければ 窓閉じて 空のながめを 封じこめてき

忘れむと 思う心の かなしけれ いづれは同じ 道と思えど

思い出も 今は甲斐なし シャンぺルの 落ち葉をともに 踏みし音する

夢多く 目覚めがちなる 冬の夜に 階上(うえ)の尿(いばり)の 音のかそけき

(2010年春・今月の歌)

春の宵 重くなまめく 稠密に 物の怪めきて 八重桜咲く

凝りて咲く 八重の桜は なまめかし 女めきたる 物の怪のごと

熱に病めば 花の便りも 知らぬ間に 病臥の床に 桜散り来る

熱に病めば 昨日も今日も なきままに 花の咲くをも 知らず春逝く

病室の 窓より花は 見えなくに 桜散り来る 熱もつ枕

咲くを待ち 散るを惜しみて この春も 人は語れど 雨多くふる